英国の名門ボーディングスクール イートン校がオンライン教育「EtonX」をグローバル展開

英国のボーディングスクールの中で最も有名と言っても過言ではない名門ボーディングスクール Eton College。チャールズ皇太子、ウィリアム、ヘンリー王子の母校であるイートン・カレッジ。卒業生全体では過去19人の英国首相を輩出しています。そのイートン校がいよいよ2017年10月よりオンライン教育を開始とのニュースに、心躍ったのは私だけではないことでしょう。中国の学校からスタートしたサービスですが、今後の展開としてはイートン校流の教育プログラムを取り入れることに意欲的な世界の学校を視野に入れているようです。

日本の高校の中には、イートン校の教育をモデルとしてそのエッセンスをカリキュラムや授業スタイルに反映しようと試みたり、あるいはイートン校のサマースクールに参加したりしている高校が相当数あるようです。(武蔵学園、巣鴨、市川学園、海陽学園、熊本高校 etc.)11年ほど前に開校した海陽学園はイートン校をモデルとして創立された学校で、イートン校との相互交流があります。また、熊本県立熊本高校のウェブサイトにも「イートン校交流までの歴史」が掲載されていますが、イートン校は教養があり人格の優れた英国紳士を育成する学校として誉れ高く、リーダーシップ教育を学ぶには最適な学校でしょう。

Percy Harrison, director of information technology at Eton College, says the school would be able to reach a wider number of pupils, without setting up an overseas campus.

He said there were risks to the “brand” of independent schools setting up overseas “franchises”, but the online venture would allow Eton to provide lessons for students in China without losing control of the quality.

http://www.bbc.com/news/education-33190029)2015年6月 BBC の記事より

「海外の分校を設立するよりも、より多くの生徒にイートン校の教育を伝えられる可能性がある。またフランチャイズ化することには名門イートン・カレッジのブランドを傷つけるリスクがあるが、オンラインベンチャーであれば教育の質を管理し損なうことなく中国の生徒に教育を提供することが可能となるであろう。」(意訳)

Dr. Percy Harrisonはオックスフォード大学で物理学の博士号を取得された方です。イートン校では12年間サイエンス学科長、その後2016年9月までイートン校の入試担当及びIT部門のディレクターを歴任されました。

Eton Online VenturesはEton Collegeが設立した会社で、技術者と教育者、起業家が協働して、教育に対する新 たなアプローチを確立しようとしています。イートン校で長年培われてきた教育とその成果をEtonXを通じてグローバルに展開しようとしています。この事業で得られた収益をイートンの奨学金制度に充てたいという意図もあるようです。

イートン校のすぐれた教育を寮生活を通じて学ぶ機会の得られない中流層の家庭でも音楽のレッスンを課外授業として受けるくらいの金銭的な感覚(一人あたり700ポンド ※ 2015年)でイギリス在住のイートン校公認の教師から学べるというプログラムとして2015年に中国で開始されたEtonXですが、2017年に新たな動きがありました。グローバル展開を視野に、リーダーシッププログラム、起業家教育、コミュニケーションの作法、履歴書の書き方、プレゼンテーションやスピーチ、面接の準備、ライティング・スキル、クリティカル・シンキング(批判的思考力)などのプログラムが計画されているようです。

直近では2017年10月に始まるプログラムがウェブサイト上に掲載されています。

Making an Impactです。

Become more Assertive and learn how to Influence others. Ensure that you get what you want out of life by being able to make or refuse requests, handle disagreements, recognise different types of behaviours and use active listening as the basis for assertiveness.

(https://etonx.com/courses/making-an-impact/)

EtonXでは2017年10月から始まるMaking an Impact courseを体験してみたい学校とその学校の生徒に対して、試験的に4週間のコースを無料でお試しできます。オンライン上での3組のクラス授業、自主学習、生徒同士のアクティビティを含みます。

EtonX is piloting its Making an Impact course from October 2017.

The pilot lasts four weeks with three live online group classes, self study and peer activities.

We are offering the pilot for free to selected schools and students. If you are interested in being considered for the pilot please sign up below:

この試験的なコースは日本を含む世界のさまざまな国の中から選ばれた学校と生徒に提供されるものです。名門イートン校の誇るEtonXのカリキュラムを取り入れたいと思われる学校の教育関係者の方はこの機会に登録を検討されてみてはいかがでしょうか。

ご登録はこちらから(https://etonx.com/courses/making-an-impact/)

日本にいながら英国の名門ボーディングスクール イートン・カレッジの授業を受けられる時代が今まさに到来しようとしています。エドテック〔Ed Tech:Education×Technology(教育×テクノロジー)の造語。教育にITを取り入れることで教育にイノベーションを起こす〕の流れも今後ますます加速していくことでしょう。

今後のEton Online Venturesの動向が注目されますね。

価値ある教育に触れられる機会が格段に増えつつある今日この頃ですが、教育内容はオンラインで学べても、人との出逢いや触れ合いはやはりface to faceが基本であることには変わりありません。

ご自身の置かれた状況によって異なるとは思いますが、オンライン上のリソースも上手に活用しながら学力や語学力を高め、大学選択にあたっては広く世界の大学を見渡して、学びたい分野や自分の性格や趣向、校風などを考慮し、人との触れ合いの中、切磋琢磨しつつ自らを成長させてくれる環境かどうかを見極めたいものですね。

〈参考〉

Eton Online Ventures(http://www.etoncollege.com/EtonOnlineVentures.aspx
EtonX(https://etonx.com
Emerge Education(http://emerge.education