【お薦めの映画】コンピューターサイエンスの父と称される英国の数学者アラン・チューリングを描いた作品「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」

現在のコンピューターの元となったチューリング・マシーンにその名を残したアラン・チューリングのことを、この映画で初めて知りました。シャーロックホームズで人気を博したベネディクト・カンバーバッチの作品を観たいと思ってレンタルしたDVDでしたが、この作品の偉大さに対する感動、秘められた歴史の重み、戦争の悲惨さ、悲しさ、切なさ、…などなど、いろいろな感情や想いが入り交じり、どう表現したらよいのか、言葉を探しあぐねています。

イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密 [DVD]

詳しくは映画(DVD)を見ていただくとして、ほんの少しだけご紹介。

時は第二次世界大戦下の英国。

ブレッチリー・パークで、ドイツの暗号エニグマを解読するために集められた英国の頭脳チームの一人、ケンブリッジ大学の誇る天才数学者がアラン・チューリングでした。
涙なしに観ることができない忘れられない感動の1シーンを引用させていただきます。

「The world is an infinitely better place because you weren’t. Sometimes it is the people no one imagines anything of who do the things that no one can imagine. 

あなたが普通じゃなかったから世界はこんなに素晴らしい。 時として誰も想像できないような人物が想像できない偉業を成し遂げるのよ。」 

「一年間の強制的ホルモン投与の後、アラン・チューリングは1954年6月7日自殺した。41歳だった。 1885年から1967年までに英国法により約4万9000人の同性愛の男性がわいせつ罪で有罪となった。2013年エリザベス女王はチューリングに死後恩赦を与え、前例のない彼の偉業を称えた。 エニグマの解読は戦争終結を2年以上早め、1400万人以上の命を救ったと歴史家たちは見ている。 この事実は50年以上も政府の機密扱いだった。彼の成果がチューリングマシンの研究へとつながった。今日我々はそれをコンピュータと呼ぶ。」

心を揺さぶられるほどの感動を覚えました。

日々の平穏な生活があるのも、日々の難題に取り組む、常軌を逸したといえるほどまでの情熱をもった人々の血のにじむような努力があってこそと、感謝する気持ちにもなります。

人工知能の研究といえば、一般的にはアメリカが進んでいると認識されていますが、人工知能分野の先駆けがまさにチューリングだったわけです。ちょっとしたパブでの会話から、一気にエニグマの暗号の解読に至るシーンも圧巻です。

カンバーバッチが脚本に惚れ込み、全身全霊をかけて演じたアラン・チューリングの物語。
悲しくも美しい感動秘話、「イミテーション・ゲーム」を是非一度ご覧ください。
高校生から大人の方にお薦めです。


エニグマ アラン・チューリング伝 上


エニグマ アラン・チューリング伝 下


Alan Turing: The Enigma: The Book That Inspired the Film The Imitation Game

〈参考記事〉

http://wired.jp/special/2015/imitationgame/01