才能を伸ばす原点「好きこそものの上手なれ」

2017年1月21日号の「週刊ダイヤモンド」は「天才・奇才のつくり方」の特集でした。

  
目次を見ただけでも

Part1 神童たちが歩んだ人生

Part2 スポーツ・芸術のエリート

Part3 天才脳と早期教育の真実

Part4 お受験最前線

と、興味深い記事が並んでいます。

Part2内「東京藝大がついに本気を出す 小中学生「英才教育」の全貌の記事の中で、東京芸術大学 学長のインタビュー「突き抜ける才能を発掘して世界に通用する演奏家育む」という見出しが目に留まりました。

Q:そもそも、音楽の才能をどこで判断するのですか。 A:一口に言えば、その人にしか出せない音や感動させる力があるかどうかですね。コンクールでいい成績を収めても、鳴かず飛ばずの人もいれば、コンクールでは優勝しなくても息の長い音楽活動をしている人もいる。どちらに才能があるのかと問われれば後者です。
Q:子供の才能を伸ばすにはどんなことが必要ですか。 A:子供が小さいときに、CDなどでいい音楽を聞かせ、いい耳をつくることが必要ですね。最近はコンクールがいろいろあり、ホールで演奏し、審査員の先生に直接アドバイスをもらえるため、人気があります。速い箇所を正確に弾いたり、ミスがないのはコンクールでは客観的な評価の一つになりますが、感動させる音楽とはまた別のものです。コンクールの結果に振り回されないでください。

ショパンコンクールで優勝しても、それを最後にピアノ界から消えてしまう人もいると、何かの本で読んだことがあります。
「子供が小さい時にいい音楽を聞かせ、いい耳をつくることが必要」というのは、その通りだと頷けます。ただ、いい音楽っていうのが結構難しい。クラシックのいわゆる名曲を聞かせたらいいのかしら?そのあたりをもう少しお聞きしてみたいです。

Part3の「天才脳と早期教育の真実」では、相対性理論などを提唱した天才物理学者アルバート・アインシュタインのことが書かれています。

 その中で私の心に響いた言葉をいくつかピックアップしてみますね。

発達障害を持つ偉人は少なくない。 彼らは興味を持つものに対する集中力に優れていたとも考えられる。新しいことを見つけたり、創造したりした時の感動を追い求めて没頭し、結果的に他人はない才能を発揮したのである。
科学や芸術に触れるものを奮い立たせるのは感動であり、いい音楽に感動するという体験がまずありきだ。
やる気を教えることはできない。だから、やりたいという気持ちを邪魔しない環境を整える。
「好きこそものの上手なれ」。感動を経験し、情熱と意欲を持てるように育む。才能を伸ばす教育の原点はここにある。

「好きこそものの上手なれ」とは、まさにその通りで、子供は好きなことは夢中になってやり続け、どんどん勝手に自分で高度な技を身につけていきます。それが、パズルであっても積み木であってもいいのです。時間も忘れて熱中している時の集中力は、傍で見ていてもすごいと思わせるものがあります。

「やりたいという気持ちを邪魔しない環境を整える」というのは、わかりやすく言えば「やりたがっている子供の邪魔をしないで、思う存分やらせてあげる」と解釈してよいかと思います。もちろん、やりたいという子供の気持ちに応えて、音楽や美術、スポーツなどの指導者につくのもいいでしょう。そうでなくても、子供が熱中している時に、スケジュール管理を優先するがあまり、もう○○する時間だから、これをやめて○○をしましょう、などと言わないことが、やりたいという気持ちを削がないことになり、子供の才能をすくすくと伸ばせることにつながると思います。

 感動体験は意図して与えられるものではないかもしれないのですが、音楽にしても美術にしても、子供には名曲や名画に触れる原体験をさせてあげたいものですね。大自然と戯れる体験もいいですね。

今回の特集では他にも、「孫正義育英財団」「数学オリンピック金受賞 異能のjazzピアニスト中島さち子」「カナダで4学年「飛び級」した天才児 大川翔」等々、読み応えのある記事が盛りだくさんだったので、ご興味のある方はぜひご一読くださいね。