THE 世界大学ランキング2021 オックスフォード大学 5年連続1位 – 大学の意義とは?

  
9月2日(水)に開催されたTHE(Times Higher Education)の世界学術サミットで、今年の世界大学ランキングが発表されました。トップの座を獲得したのはオックスフォード大学でした。

5年連続世界大学ランキング1位ということで、オックスフォード大学のホームページ上でもニュースとして取り上げられています。

原文はこちらのリンクよりご覧いただけます。

その中からオックスフォード大学ルーズ・リチャードソン総長の言葉を書き留めておきたいと思います。

The Vice-Chancellor of Oxford University, Professor Louise Richardson, said: ‘We are delighted to have consolidated our position at the top of the THE World University Rankings this year.

‘The international standing of British Higher Education is a testament to generations of investment in education as well as to our extraordinarily talented staff and students.

‘The COVID-19 pandemic, which has posed such a threat to higher education around the world, has also demonstrated the critical role universities play in addressing global challenges.’

(訳)

オックスフォード大学のルイーズ・リチャードソン総長は、

「今年のTHE世界大学ランキングでトップの座を維持できたことを大変嬉しく思っています。

英国の高等教育の国際的な地位は、何世代にもわたって教育に投資してきたことの証左であると同時に、非常に優秀なスタッフと学生の証左でもあります。

世界中の高等教育を脅かしたCOVID-19パンデミックは、世界的な難題に取り組む上で大学が果たす重要な役割を示しています。」

と述べました。

 
オックスフォード大学のホームページやメール等では、教員や研究者に対してだけでなく、学生や職員に対する敬意と謝意が感じられる文面をよく目にします。

学生を尊重するカルチャーは、オックスフォードでの学生生活を有意義で豊かなものにすることに大いに寄与していると感じています。

一方、年長者あるいは年上を敬うという日本の慣習は美徳ではありますが、変化の激しい現代において最先端の研究や産学連携や国際的な共同研究をするためには、かなり足枷となっているのではないでしょうか。

日本でも立場や年齢の差に関係なくお互いを尊重し対等に議論できる教育環境の必要性を感じます。「言うは易く行うは難し」ですが、日本の大学だけでなく海外の大学を経験した研究者が、その貴重なプラスの経験を日本に持ち帰ることにより、日本の大学の研究環境が改善されることを大いに期待しています。

東京大学が世界ランキングでTOP10(アジアNo.1)だった頃からランキングの推移をメディア等で目にしていますが、東京大学が平成16年(2004年)4月1日から教員の定年を65歳に引き上げ、実質的に若手が活躍するポストの数が減ったことは、長い目で見ると甚大な影響を及ぼしているような気がします。多少なりとも世界ランキング低迷の遠因になっているのではないでしょうか。

任期付きの雇用などの不安定な待遇では一人生活するのもままなりません。本来であれば学問的な能力の高い学生が進むべきアカデミアの世界そのものがその輝きを失っているのです。優秀な人材が集まらなくなれば、やがて世界トップレベルの研究機関として認知されなくなるのも時間の問題でしょう。

優秀な学生が日本の大学院(特に博士課程)を目指さなくなった時点で、研究レベルが落ちるのは火を見るよりも明らかです。日本の優秀なトップ層が日本のアカデミアそのものに魅力を感じなくなり、研究者を目指さなくなったこともランキング低迷に大いに関係している可能性があります。

例えアカデミアに残らなくとも、博士課程を修了した人を専門家として高く評価するような社会であれば、進学したことが無意味になりません。大学で専門分野に長けた人材を育成することができ、その中からアカデミアで研究に従事する人材も輩出できるという好循環が生まれます。研究者の待遇の改善なくして優れた研究成果を期待するのは無理難題というものでしょう。
 
世界大学ランキングの問題は単に英語で学位を取得するコースを開設し、留学生の割合を増やせばいいという単純な問題ではなくもっと根深いものだと感じています。

オンライン教育が全盛となった今、まさに大学としての存在価値が問われています。優秀な教員と学生が集まり共に議論を交わす場としての大学。知を継承し、新技術や研究成果などの価値を創出することで世の中に貢献するという大学本来の意義に立ち返ってみる時期かもしれません。
 

  
〈参考〉