オックスフォード大学・ケンブリッジ大学と教員交流・学生交流のあるリンデンホールスクール&日本経済大学

文部科学省により2018年までに国際バカロレア認定校を200校に増やすという目標が示されている中、オンライン記事や雑誌等でも国際バカロレア校がますます注目を集めているようです。

そうした機運に先駆けて、英語による教育を進めていた学校のひとつに福岡にあるリンデンホールスクールがあります。この学校は国語以外の授業を英語で行う英語イマージョンスクールで、平成16年に小学部、平成22年には中高学部を開校し、中高学部は国際バカロレア機構から国際バカロレア・ディプロマプログラム(IBDP)の認定を受けています。

今年2期目の卒業生を送り出したばかりの学校ですが、個人的には以前から注目していました。といいますのは、ホームページを拝見したところ、学校内に英国式のガーデンがあったり、オックスフォード大学やケンブリッジ大学の学生が小学生に英語を教えたりしている様子が掲載されていて、どういった経緯でこうした交流が生まれたのか、とても気になっていたからです。日本にも数多くの進学校があるにもかかわらず、どうして地方のしかも全国的にはそれほど知名度が高くない初等・中等教育学校と提携しているのだろう、と不思議に思っていたのです。

この疑問は書店で目にした一冊の本により、見事に氷解することとなりました。

   

ある日のこと、東京丸の内の丸善書店の教育コーナーに陳列してあった「和魂英才のすゝめ」という本を目に留め、この本があのリンデンホールスクールを設立した都築学園グループの総長 都築仁子氏による著書だと知りました。都築仁子氏はリンデンホールスクール小学部の校長も務められています。都築学園という学校法人があること自体、リンデンホールスクールの存在により初めて知ったわけですが、この都築学園は規模が大きく、多くの学校を経営しています。

しかも、都築学園グループの学校のひとつ日本経済大学では、毎年オックスフォード大学やケンブリッジ大学と教員や学生の交流が行われているようです。オックスフォード大学やケンブリッジ大学と学術交流を結べたのは、都築学園からの提携申し出ではなく、オックスフォード大学・ケンブリッジ大学の側からだったというのですから、思ってもみなかったことで本当に驚きました。

その理由というのが実に明解で納得がいくものでした。「『個性の伸展』という都築学園の建学の精神に共感したため」と「助成金に頼らず、本当の私学経営を実践している学園だから」というのが主な理由だったようです。

一部引用してみます。

 オックスフォード大学の方によれば、「都築学園は助成金に頼らず、本当の私学経営を実践している学園であることを文部省で調べて知りました。カレッジの形で大学をたくさん経営しているのも、オックスフォードと同じです。ぜひ交流しましょう。私たちには長い伝統と歴史があるので、いろいろアドバイスもできます」と言ってもらったのですが、私たちにしてみれば、寝耳に水の申し出でした。
 さらに、オックスフォード大学もケンブリッジ大学も、「個性の伸展」という都築学園の建学の精神に共感してのことでした。………(中略)………
「そういう教育と経営を行っている学校は、日本にはほかにありません。本当の私学経営を実践しているのは都築学園だけです」と、私たちが長年実践してきたことが正しいと認めてくれたのが、ほかならぬオックスフォード大学やケンブリッジ大学の学長をはじめとするトップの方々。ですから、「お互いに教育の理念も経営のあり方も近い同士」という感覚で、私たちは握手できたのです。(引用ここまで)

    
こうした経緯により、今から25年ほど前に都築学園はオックスフォード大学のセント・アンズ・カレッジとケンブリッジ大学のフィッツウィリアム・カレッジと提携を結ぶことになったそうです。

都築学園グループがどうして助成金に頼らない学校経営を行っているかについては、「補助金を辞退し「自主独立」を貫く」の中で言及されています。都築学園の経営部分については、パナソニックの創業者 松下幸之助さんの経営哲学に学ばれたことが大きかったようです。

……いずれにしても、私たちが、こうした私学経営の本来的な部分に目覚めたのも、幸之助さんの経営哲学に学んだからであり、教育の世界に身を置いているだけでは、こうした発想は生まれなかったことでしょう。
 実際、私学経営に対して国による補助が入ったり、政治が介入するようになったら、厳密には私学とは言えなくなりますから、私立大学が助成金をもらうことは、本来筋が通らないことなのです。経営的に自立したうえで自治を行わないと、いわゆる私学としての建学の精神を全うすることは不可能になります。(引用ここまで)

  

助成金を受け取ると自分たちの思うような教育ができなくなる、という意見には全く頷けるものがあります。

おそらく大多数の学校が助成金をあてにした学校経営をされていると思いますが、都築学園のように助成金なしで経営されている学校もあるわけです。そのノウハウを勉強会のような形で共有でき、それぞれの高校や大学が教育の独自色を打ち出すことができれば、他の学校にとっても大変有益なのかもしれないと思いました。

オックスフォード大学やケンブリッジ大学の学生と交流する機会があれば、学生にとって大変刺激的な環境となり、教員にとってもより有意義な学びの場となるのではないかと思います。学力的にレベルの高い進学校や大学でこうした交流機会あれば、より多くの生徒や学生、あるいは教員がインスパイアされ、メリットを享受できることでしょう。

基礎学力の高い生徒が英語でしっかりとした教育を受ける機会があれば、もっと多くの日本人が海外の名門大学に進学できるでしょうし、そうなれば、大学時代にグローバルリーダーとして活躍できる素養を身につけることができるのではないでしょうか。

リンデンホールスクールですが、

第1期生の合格大学の中には、

〈イギリスの大学〉

King’s College London    
Durham University 
SOAS University of London
University of St Andrews             
London School of Economics and Political Science 

〈オーストラリアの大学〉

University of Melbourne
Australian National University
The University of Sydney
Monash University

など、数多くの名門大学が並んでいます。
第2期生の合格実績もそろそろ発表される頃でしょうか。

助成金は日本の多くの学校の経営にとって既に必要不可欠な資金となっているのでしょう。しかし、そうした助成金を当てにして経営をする学校は、独自の教育方針を貫くことができず、新聞報道で時折目にするように、いろいろな面で綻びを見せ教育の劣化の様相を呈しています。最近では文科省の大学への天下り問題も話題になりました.

そんな中、都築学園のぶれない教育方針に触れることができ、一筋の光明を見たような気がしました。

平成26年には都築学園グループは英国ケンブリッジ大学との長年の交流が実り、名誉友好団体(Guild  of Benefactors)に選ばれ、ケンブリッジ大学内のセネットハウスで表彰されています。

日本最大規模の面積を持つイングリッシュガーデンは、平成8年のオックスフォード大学・ケンブリッジ大学とのパートナーシップ締結を記念して創られたとのこと。学生寮「オックスフォードハウス」「ケンブリッジハウス」もあるそうです。

日本にいながらオックスフォード大学・ケンブリッジ大学の学生と触れ合う機会が得られるリンデンホールスクール。できることなら一度見学してお話をお聞きしてみたい気がします。立地的には太宰府天満宮のお膝元、学業成就できそうな予感もしますね。

「個性の伸展による人生練磨」という建学の精神を貫くために、助成金をあえて辞退し、「教育イコール経営」という経営の土台を守っていくことを信条としている都築学園グループ。中でも国際バカロレア認定校で、海外名門大学にも合格実績を出したリンデンホールスクールは注目に値します。卒業生の今後の活躍に期待しています。

〈参考〉

オックスフォード大学 St. Anne’s College
ケンブリッジ大学 Fitzwilliam College Tsuzuki Scholarship Programme
日本経済大学
リンデンホールスクール

黒字太字部分引用
※敬称一部略