オックスフォード大学の入試で問われる知識より創造力や思考力

2016年10月28日号の読売新聞の朝刊に、オックスフォード大学アリソン・ビール日本事務所代表の記事が掲載されました。

大学入試センター試験に代わり2020年に新テストの導入が予定されるなど、入試改革の論議が高まっている中で、読売新聞の記者が英国の入試制度や日本の課題についてインタビューされています。

「なぜ、人間の鼻は2つなのに、口は1つなのか」「英国では4人に1人ががんで亡くなるが、フィリピンでは10人に1人。違いの要因は何か」。これらはオックスフォード大学の面接試験で出た質問である。教授が求めるのは正解ではなく、学生が課題にどうアプローチするか、自分の考えをきちんと伝えられるか、創造性や好奇心があるか、などを判断する。   (中略)

オックスフォードに入学すると学生は「チュートリアル」という個別指導を受ける。大量の課題図書を読み、教授と徹底議論する。こういう厳しい学習環境でも、成果を出せる潜在力と意欲のある学生を選抜するため、入試に手間をかけている。   (中略)

私の印象では、日本の高校の教員や保護者は、「生徒がこれだけ努力すれば、合格できる」といった、結果が予測可能な制度を好んでいるように感じる。しかし、物事を革新的に考えられる人材を選ぶためには、入試も知識の量や正誤だけでなく、創造力や批判的思考力などを問うものに転換すべきだ。

物事を革新的に考えられる人材というのは、イノベーションを起こせる人材、あるいは未来を創り出す人材ということを意味するのでしょうか。

記憶力や高速処理能力を試すような、コンピューターで代用可能な能力は今後ますます重要視されなくなるでしょう。キーワードは創造力と思考力ですね。

もうご存知の方も多いかもしれませんが、オックスフォード大学やケンブリッジ大学の面接問題で、世界を変える思考法がどのようなものか、その一端を垣間見ることができる本をご紹介します。

「あなたは自分を利口だと思いますか?」 ジョン・ファーンドン著

「ケンブリッジ・オックスフォード 合格基準」 ジョンファーンドン著

著者ご自身が解説されているのですが、実際の面接では答えが一通りではなく幾通りもあるというのが要です。選択式や答えが一つに決まっている試験問題の対極にありますね。私もこの本を初めて目にした時は驚きました。こうした思考法は一朝一夕で身につくものではありません。

「ローマは一日にしてならず」といいますが、教育もまた然り。人工知能(AI)が台頭する21世紀の教育はこれまでの教育と変わらざるを得ないのでしょう。知識や計算などはコンピューターに任せられる時代が来たのですから。人間ならではの思考力や想像力、創造力を伸ばす教育を志向したいものですね。

原書はこちらから↓