先日、English Grammar in Useの著者であるマーフィー氏が来日され都内で講演会が催されるというので出かけてきました。
マーフィー氏はユーモアのある温厚そうな方でますますファンになりました。
「マーフィー氏がイギリスの語学学校で教えていらっしゃった」と以前拙ブログで書いたことがありますが、お話を伺う中で、実はオックスフォードにある語学学校だったことが判明しました。
マーフィー氏の教授法は手作りのワークシートを用意し、生徒に問題を解かせる中で、必要な英語の文法を習得させるというものです。そのための最適な文例の集大成がEnglish Grammar in Use なのです。
いろいろな国の留学生が集まるオックスフォードの語学学校で指導されていたマーフィー氏ですが、日本人留学生を教えた経験もあるそうです。マーフィー氏に直接指導を受けられた生徒さんは幸運ですね。日本人留学生の特徴としては、a とかtheの冠詞、countable, uncountableといった加算名詞、不加算名詞が苦手な点が見られるそうです。
English Grammar in Useの初版は1985年に出版されていますが、今では販売数3500万部を超える世界的な大ヒットとなっています。
コミュニケーションに使える実用的な英文法を学ぶのに、マーフィー氏のEnglish Grammar in Useは最適な教材と言えるでしょう。
独学用に制作された教材ですが、かなりボリュームがあって、全部を通すには相当な時間がかかります。すべてをやり遂げるのが理想的ですが、部分的に利用するだけでもかなりの効果が期待できます。助動詞や冠詞、話法など単元を決めて、徹底的・集中的にマスターしたい箇所からやってみるのもよいでしょう。マーフィー先生もはじめからやる必要はなく、調べたい時に参考書として参照する方法もよいとおっしゃっていたので、我が意を得たりと安堵したのでした。
例文を音読することも効果的なのでお薦めです。声に出すことで、頭にある言葉を発声にスムーズにつなげることができます。黙読と違って音読には時間がかかりますが、実践すると大変効果があります。
このように世界中で人気を博しているマーフィー氏の英文法書ですが、イギリス英語版とアメリカ英語版があります。
英国人であるマーフィー氏はイギリス英語版を執筆されています。現在第4版が絶賛発売中ですが、初版だけでなく改訂版もすべてマーフィー氏の執筆によるそうです。初版が発売されてから既に33年という長い年月が流れていますが、マーフィー氏曰く、英語の文法自体はほとんど変わらないが、実用に即した文例が変わっていくとのこと。例として、喫煙のことを取りあげていらっしゃいました。
Would you mind my smoking ? という文例をあげられました。その時代に応じて、使用頻度の高い適切な文例に変更するといった地道な作業を、マーフィー氏ご自身がなさっているとのことでした。アメリカ英語版は、アメリカ人の方に依頼されているようです。
イギリス英語版とアメリカ英語版との区別が題名だけでは判別しにくいので、以下に一覧にしてみますね。
イギリス英語版 初級編(第4版)Essential Grammar in Use
イギリス英語版 中級編(第4版)English Grammar in Use
アメリカ英語版 初級編(第4版)Basic Grammar in Use
Basic Grammar in Use Student’s Book with Answers and Interactive eBook: Self-study Reference and Practice for Students of American English
アメリカ英語版 中級編(第3版) Grammar in Use intermediate
Grammar in Use Intermediate Student’s Book with Answers and CD-ROM: Self-study Reference and Practice for Students of North American English (Book & CD Rom)
私はイギリス英語版を持っていますが、日本の学校ではアメリカ英語が中心ですので、どちらの教材を選択するか悩ましいところかもしれませんね。
日本の学校ではアメリカ英語を学ぶ方が一般的だと思いますが、イギリス、及びオーストラリア、ニュージーランドに留学を希望される方は、イギリス英語版で学習することをお勧めしたいです。かつてイギリスの統治下にあったマレーシアやシンガポール、インドでもイギリス英語を学びます。ヨーロッパ諸国もイギリス英語が基本です。イギリス英語を学んでおくのは、留学後を見据えた準備としてもかなり得策だと思います。学校でアメリカ英語を習う方やアメリカ留学を希望されている方には、アメリカ英語の教材で勉強した方が混乱しないで済みそうです。
各自の教育環境や目的に応じて、適切な教材を選択されるのがよいかと思います。
中級編までマスターすれば、実用英語文法はほとんどカバーできます。そのまま会話に使える例文が満載なので、自然と会話の上達にもつながります。中級編といっても完璧にマスターすれば、上級レベルに十分到達できるほどの濃い内容です。自信を持ってお薦めします。
eBook版やCD-ROM版など、いくつか種類がありますので、ご購入の際にはご注意ください。
English Grammar in Use 第4版(イギリス英語版)のオンライン版は、教材がダウンロードできるので、クラスでの使用にも向いているとのこと。
と当日頂いたパンフレットに記載してありました。
英語の独習にとどまらず、英語教育のリソースとしても画期的ですね。
以下、English Grammar in Useを独習する場合の使い方を簡潔にまとめてみました。
English Grammar in Use の使い方
①オーソドックスな利用法
見開き左ページの説明を読んで、右ページの練習問題を解く。間違えた問題のチェック。その後、文例を何度も音読して自然に口からついて出てくるようにする。
②一通り要点を押さえながら時間を短縮する方法
左ページの説明を読んで例文を何度か音読する。
③参考書として活用する方法
自分の学習したい文法事項や、分からないことがあった時にその都度調べ、その時に左ページの説明を注意深く読む。
ニュアンスの違いを把握するには英語版をお薦めしますが、日本語訳「マーフィーのケンブリッジ英文法」の初級編と中級編も出ていますので、時折参照できるよう手元に置いておくのもいいですね。
マーフィーのケンブリッジ英文法(初級編)第3版 (Basic Grammar in Use)
今回の講演会をケンブリッジ大学出版と共同企画されたDMM英会話のウェブサイトに講演会の様子がイベントレポートとして詳しくアップされていますので、ご興味のある方は是非ご覧になってくださいね。
(http://eikaiwa.dmm.com/blog/44297)
最後になりますが、今回の講演でマーフィー氏の
という言葉が心に響きました。
表現できる言葉がほんの少しでも増えたら、それだけでも素晴らしいことなのです。
楽しみながら続ける秘訣がこの一言に凝縮されているような気がしました。
【追記】4/18
マーフィー氏のインタビュー動画「マーフィー in Japan 2018 – Grammar in Useについて」がケンブリッジ大学出版からアップされていましたので、よろしければ併せてご覧ください。
〈参考〉
ケンブリッジ大学出版 公式サイト http://cambridge-university-press.jp
英文法参考書の一押し マーフィーの「English Grammar in Use」(ケンブリッジ大学出版)
【追記】2019.11.8
English Grammar in Useは第5版が最新版です。(2019.11.8現在)
日本限定版(学習手帳付)も販売されていますので、この機会に有効にお役立てください。