数ヶ月ほど前に半分ほど読みかけてそのままにしていた、世界的なベストセラー「GRIT やり抜く力」を読み終えました。
[amazonjs asin=”4478064806″ locale=”JP” title=”やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける”]
もう一度読んでみようと思ったのは、図書館で借りてきた「プレジデント2017.1.30号」に「アンジェラ・ダックワース スペシャルインタビュー 成功者の99%が持つ秘密の力「グリット」入門の記事の特集が組まれていたことがきっかけです。
「Grit やり抜く力」の本を再読して感じたのは、「誰でもどんな分野でも一流になれる最強・最速のメソッド」を紹介した本ではないということです。むしろ、長期間にわたって地道に努力を続ける能力が高い人が成功という果実を得ることができる、といったに風に私には読み取れました。
後半、特に子育てに応用できそうな文言が並んでいます。
などなど。
この本の中で一番感銘を受けたのはコーディ・コールマンのお話でした。コーディはマサチューセッツ工科大学(MIT)で電気工学とコンピューターサイエンスを専攻し、ほぼ満点に近いGPA(成績平均点)を獲得し、MIT卒業後、大学院に進学し修士号を取得、その後スタンフォード大学博士課程に進学し、コンピューターサイエンスを専攻、といった経歴の持ち主です。
学歴だけ見ると、能力に恵まれ順風満帆な人生を歩んできたかのように見えますが、決して才能や機会に恵まれたわけではないことをその生い立ちから知ることができます。精神異常の母を持ち、父は刑務所に入っていたため、一度も父親に会ったことがなく、監護権を取得した祖母によって、コーディと兄弟は育てられたそうです。中学3年生の夏、18歳離れた兄と過ごした2週間が、その後の人生を変える転機となりました。高校3年生の時、賢明な数学教師に養子として迎えられます。
地元のラジオ局の番組がコーディにインタビューを行った際、番組の終わりに、以前の自分と同じように恵まれない境遇を乗り越えようとがんばっている視聴者へのメッセージを求められました。
以下、メッセージ(一部抜粋)です。
「ポジティブでいること」
「どうせできるわけがないとか、無理に決まっているとか、そういうネガティブな思い込みを捨てて、とにかくやってみることです」
そして最後におとなたちに向けて、こう言って締め括った。
「子どもの人生をよい方向に変えてやらなくては、なんて気負わなくていいんです。こころから相手のことを思って、しっかりと見守っていれば、ちゃんとそれが伝わって、よい変化が起こります。その子の人生にいまなにが起きているのか、理解しようと努めてください。そして、一緒に乗り越えよう、と手を差し伸べてください。それこそ僕がわが身をもって経験したことです。そのおかげで、すべてが変わったのです」
コーディの言葉は、戸惑いながら子育てや教育に関わる多くの方にとっても、勇気を与えてくれる心温まる力強いメッセージとなるのではないでしょうか。
「やり抜く力」は大事ですが、何をやり抜くかは本人次第。子どもをよく観察し、子どもにとって良き理解者、支援者でありたいものですね。