オックスフォード大学は最高学府として学術分野で世界に貢献するべく、国内と海外を問わず優秀な学生を集めようとしています。人種や国籍に関係なく、専門分野に関する学力や伸びしろのある学生を求めていることが特長としてあげられます。
オックスフォード大学の学部の入試ではウェブサイトにも記載されているように、選択したコース(専攻分野)に対する学問の能力と情熱によってのみ選考されます。
現在、世界140カ国を超える国々から12000人近い学部生がオックスフォード大学で勉強しています。オックスフォード大学は多様なバックグラウンドを持つ留学生を歓迎しています。スポーツ、ボランティア、コネは全く関係ありません。アメリカの名門大学で見られるようなレガシー優先入学もありません。
「オックスフォードが求める学生とは?〈受験生のためのアドバイス〉」の過去ログもご参考に♪
医学部を除き、留学生の人数枠もありません。世界中から優秀な学生を集めようと大学は選考に時間と労力をかけています。オックスフォード大学では教授が直接面接をします。ちなみに、英国大学医学部の留学生の人数はイギリス政府が管理しており、オックスフォード大学医学部では留学生枠の定員は現在14名となっています。
国内生と留学生の大きな相違点は、留学生には英語力の最低基準が設けられていることと、英国及びEU圏の学生とEU圏以外の留学生で学費が異なることです。
イギリスの大学であることとオックスフォード大学が留学生に求める英語力がかなり高いため、学部全体でみるとイギリス人の割合が高いのは当然ですが、出願に際して留学生だから不利ということはありません。年によっても専攻によっても異なるので一概に言えませんが、理系のコースの中にはイギリス人の割合がかなり少ない専攻もあります。
留学生の場合、英語力が基準に満たない場合でも出願はできますが、その場合、オファーをもらった場合には決められた期日までに英語力の基準を満たしたことを証明する必要があります。(スコアを取るだけでなく証明書が届くために必要な日数も予め十分考慮しておいてください。)なお、英語力の証明としてIELTSを利用する場合には、新たにできたIELTS UKVIやIELTS life skills optionではなく、IELTS academic optionを受験されるようご注意ください。
(https://www.ox.ac.uk/admissions/undergraduate/international-students/english-language-requirements?wssl=1)
オックスフォード大学学部の出願資格はEntrance requirementsで確認できます。
Entrance Requirementsに課外活動に関する記述がありましたので引用してみます。
オックスフォード大学のすべての課程の選考基準は学業成績と潜在能力(potential)に関わるもので、課外活動は選考基準に達しているかどうか判断するために役立つ場合に限り考慮されるということです。
国内生と留学生で選考基準が異なるわけではありませんが、EU圏以外の留学生の学費が高いことがEU圏以外の留学生の出願件数の抑制につながっていると見ることもできます。もし、イギリス人と同じ学費だったら、EU圏以外からの留学生の出願数はもっと増えていることでしょう。
イギリスがEUから離脱することになることで、一番影響を受けるのは英国以外のEU圏の学生でしょう。学費負担が一気に膨らむ可能性があるわけですから。
オックスフォード大学(学部)の出願数をグラフ化した統計が公表されています。
(https://public.tableau.com/views/UoO_UG_Admissions/Domicile?%3Aembed=y&%3Adisplay_count=yes&%3AshowTabs=y&%3AshowVizHome=no)
最近の出願数の伸びが大きいのが見て取れます。一方で、受け入れられる学生数にほぼ変化がないとすれば、数年前と比べても入学の難易度はかなり上がっていると言えるでしょう。
留学生の国籍(nationality)や居住地(domicile)別の人数も見ることができます。
(https://public.tableau.com/views/UoO_UG_Admissions2/NationalityandDomicile?:embed=y&:display_count=yes&:showTabs=y&%3AshowVizHome=no)
数ヶ月前の話になりますが、ポンド安の影響で中国人のイギリスへの留学者数が増えたとの記事を目にしたことがあります。また、Independent Schools Council Census and Annual Report 2016によれば、日本から英国の私立学校へ留学した生徒数(両親は英国内外に居住)は907名と、前年度比で36%増加したそうです。こうしてみると、今のところ英国留学の人気が陰るといった兆候は見られていないようです。
折しも、メイ英国首相が29日、ブレグジット発動の文書に署名されたようです。英国がEUから離脱することによる影響がどのように出てくるのか、今後の動向を見守りたいと思います。
注)オックスフォード大学の出願資格に関しては変更される可能性がありますので、出願される際には必ず大学のウェブサイトで最新情報をご確認ください。
【追記】2020.9.16
英国がEUから離脱後の移行期間終了(2020年12月31日)に伴い、学費やビザ・イギリス政府のローンに関してイギリス人と同等だった EU圏の学生は、2021年から外国人(Overseas student)としての処遇になります。2021年の新入生から一気に学費が上がることになるので、EU圏からの留学生が減少し、留学生の国籍別の人数構成にも大きな影響があることが予想されます。
2020年9月11日現在、2021年にフルタイムの課程をスタートするEU圏の学生については次のようなことが決定しています。2020年12月31日までにイギリスに入国する人と2021年以降入国する人でビザの扱いも異なるようです。
EU students starting a full degree course in 2021-22 and arriving in the UK after 31 December 2020:
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Are not eligible for home fee status and tuition fee loan in England,
Northern Ireland, Scotland, and Wales
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Will need to apply for a student visa through the new Student route
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Will be eligible to apply for the Graduate route
(https://www.universitiesuk.ac.uk/policy-and-analysis/brexit/Documents/eu-student-faq.pdf)
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